小川榮太郎の書斎から 2015年09月
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レコードコンサートの一夕

昨夕は、去年ザルツブルク音楽祭で知遇を得たTさんのお招きに預かり、ご自宅でレコードコンサート。
非常に美しいレコードルーム。信じ難い音響設備。中庭から夕暮れ時の木漏れ日が静かに部屋に入る中で、ブラームスのピアノ協奏曲2番、バレンボイム&ドゥダメル、ポリーニ&ティーレマンの2枚を立て続けに聴く。これは色々な意味で前者に分がある。この曲が、宇宙的な――ブルックナー的な広大さを持つ事を始めて感じた。
 しかし唖然茫然としたのは、その後にさはりだけ聞かせてもらつたショルティ&カルーショーの指環。ジークフリートの葬送とヴォータンの告別だけ聴いたが、Tさんの再生システムから部屋一杯に鳴り渡るヴァグナーサウンドはホールでも滅多に聴けない。眼を閉じると歌手(ヴィントガッセンとホッターだからね(笑))が上方に立ち、下から弦が唸り、左から金管が咆哮する。眼前でフルトヴェングラー、クナッパーツブッシュ時代のウィーンフィルが強烈なサウンドを展開する様は茫然とするばかり。
これが半世紀以上前の録音だ。勿論伝説の名盤でカルーショーの凄腕は知つてゐたが、ホールがそのまま再現されるやうなこんな立体感が刻み込まれてゐたとは今日の今日まで知らなかつた。
最新盤であるバレンボイムやティーレマンの録音の浅さ、甘さ、緩さとの差は信じ難い。
しかし……これほどの音で往年の偉大な演奏が聞けるとなると、大抵の生演奏は聴く気がしなくなるな(笑)
……食事の時、拙著『小林秀雄の後の二十一章』の話題から、お前はもう文化の仕事に戻れと言はれたのは嬉しかつた。
政治的な日本の再生は、安倍首相が最大限の仕事をしてゐる。
が、ずつと指摘してきてゐるやうに、政治による再生には限界がある。人間の再生ができなければ――人間の桁を一回り、二回り大きくしなければ、日本の再生はない。よく言はれる安倍氏の後継者の事一つとつてもさう。政治家を作り育てるのでなく、知識人の質を高く分厚くする所から始めなければ、この国はもうまともなエリートを生み出せなくなつてゐる。その根本は「文學」である。「文學」をここまで軽視したまま、日本が再生する事は絶対にあり得ない。安つぽい、過去と切断された日本が政治の力で守られても、何の値打ちもない。
私の仕事は元々そちらであり、この秋から、やうやく、その本来の仕事へと私は戻つてゆく事になる。
そして、その際、私の仕事の中心にはやはり音楽がなければならない。音楽を言葉に置き換へる困難への挑戦によつて、私の筆力は鍛へられてきた。今の私には音楽批評を書く力が失せてゐる。こんな事では早晩、文学や思想の筆も枯れてしまふ。音楽に戻る事は私の物書きとしての生命線の確保の上で是が非でも必要だといふ気がしてゐる。
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桜プロジェクトで拙著『小林秀雄の後の二十一章』について語り合います。

本日夜8時から放映の桜プロジェクトにゲストで出演します。水島総 さん、 髙清水有子さんの番組で『小林秀雄の後の二十一章』をご紹介いただきました。創作、出版の意図、水島さん、高清水さんによる読みどころのご紹介、私の所説への反論などを縦横に語り合ひます。ぜひご覧ください。

平成27年9月 創誠天志塾月例会のお知らせ

平成27年9月 創誠天志塾月例会のお知らせ
日本人として、文藝を通して学ぶべきこと…真に日本のためじっくりと共に学びませう。是非ご友人などお誘いあわせの上でご参加くださいませ。招待が来ていない方でも、どなたでもご自由にご参加頂けます。
日にち:9月5日(土)
   集合:14:30
   開始:15:00
   終了:18:30(予定)
  参加費:1000円
   場所:東京都千代田区三崎町3-1-16
       神田アメレックスビル6F
       (水道橋駅から徒歩5分)


最寄り駅:水道橋駅
  持ち物:筆記用具
       『一気に読める戦争の昭和史』(小川榮太郎著)
       『小林秀雄の後の二十一章』(小川榮太郎著)
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  ※それぞれ変更する場合があります。
  ※休憩何回かあります。
  ※遅れて参加・途中退室も可能です。
  ※終了後、自由参加の懇親会あり(大体3500円ほど)

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小川榮太郎

Author:小川榮太郎
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