小川榮太郎の書斎から 2015年04月
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榮チャンネル 第34回【読書日記(8) 東郷茂徳 「時代の一面」】

日米戦争開戦時と終戦時の外務大臣を務めた東郷茂徳の回顧録です。巣鴨の獄中で書かれ、東郷は出獄する前に病死しますので、大変痛ましい記録となつてしまひましたが、公平・厳正無比な極めて信頼に値する回顧録です。歴史を自虐史観で裁くのも、特定の陰謀史観で決め付けるのも、日本が悪い、いや日本は正しかつたといふのも間違ひです。もつと歴史を広く深く丁寧に自由にみてゆくことが必要ではないか。本書は、戦後70年にあたつての必読書の一つです。

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榮チャンネル 第33回【2016年予定のダニエル・バレンボイム来日公演】

長らく来日しなかつたバレンボイムが来年1月から2月に来日する事が決定しました。現在、世界最高の巨匠と言つていいでせう。今回の来日ではブルックルナーの交響曲全曲演奏会とモーツァルトの後期ピアノ協奏曲の弾き振りを組み合わせた野心的なものです。ブルックナーを短期間に1番から9番まで演奏するといふのは空前の試みではないでせうか。

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榮チャンネル 第32回【世界情勢を踏まえた憲法論議を】


自主憲法制定、その一歩としての憲法改正こそが、「日本を取り戻す」=国民自身が国の在り方を自ら決める「安倍政権時代の最重要課題」のはずです。それにも関わらず保守派論壇やネット保守世論での憲法論議が低調なのが非常に気になります。そんな中『美しい憲法を作る国民の会』は、憲法改正に向けて全力で国民運動を展開しています。今回はその憲法作りの根幹と言える9条改正についての同会のパンフレットをもとにお話をしています。


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榮チャンネル 第31回【読書日記 (7) 中原中也「春日狂想」】

今回の読書日記では『中原中也詩集』新潮文庫を取り上げます。前回の中村光夫『今は昔』から、徒然に中原の詩集に遊んでみました。勿論、日本の近代史における最高至純の絶唱の数々です。ぜひ音読してみてください。今でも、その調べはただちに胸に迫ります。

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榮チャンネル 第30回【フルトヴェングラーを求めて(4)「ワルキューレ」】

今日は、変則的な形ですが、フルトヴェングラーのラストレコーディングであるヴァグナーの楽劇《ワルキューレ》についてお話します。数年前、フルトヴェングラーの主要録音が最新のリマスタリング技術で再発売された時に、最も劇的に音質が改善されたものの一つが、この《ワルキューレ》でした。私は余りマニアックな音の改善には興味がありませんが、この改善は、演奏の感銘を全く一新するものです。

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榮チャンネル 第29回【パラオ御訪問時の天皇陛下の御言葉について】

天皇陛下の御言葉を味読する事は、戦後70年の日本を考へる事でもあります。
ぜひご一緒に味はひたいと思ひます。


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■ニコニコ動画:http://www.nicovideo.jp/watch/sm26007785


■天皇陛下のパラオご訪問でのご発言はこちらです。

○天皇陛下の羽田空港でのお言葉・全文
http://www.sankei.com/life/news/150408/lif1504080027-n1.html
2015.4.8 16:47
 天皇陛下はパラオ共和国訪問にあたり、羽田空港でお言葉を述べられた。



 本年は戦後七十年に当たります。先の戦争では、太平洋の各地においても激しい戦闘が行われ、数知れぬ人命が失われました。祖国を守るべく戦地に赴き、帰らぬ身となった人々のことが深く偲(しの)ばれます。

 私どもはこの節目の年に当たり、戦陣に倒れた幾多の人々の上を思いつつ、パラオ共和国を訪問いたします。

 パラオ共和国は、ミクロネシア連邦、マーシャル諸島共和国と共に、第一次世界大戦まではドイツの植民地でしたが、戦後、ヴェルサイユ条約及び国際連盟の決定により、我が国の委任統治の下に置かれました。そしてパラオには南洋庁が置かれ、我が国から多くの人々が移住し、昭和十年頃には、島民の数より多い五万人を超える人々が、これらの島々に住むようになりました。

 終戦の前年には、これらの地域で激しい戦闘が行われ、幾つもの島で日本軍が玉砕しました。この度訪れるペリリュー島もその一つで、この戦いにおいて日本軍は約一万人、米軍は約千七百人の戦死者を出しています。太平洋に浮かぶ美しい島々で、このような悲しい歴史があったことを、私どもは決して忘れてはならないと思います。

 この度のパラオ共和国訪問が、両国間にこれまで築かれてきた友好協力関係の、更なる発展に寄与することを念願しています。私どもは、この機会に、この地域で亡くなった日米の死者を追悼するとともに、パラオの国の人々が、厳しい戦禍を体験したにもかかわらず、戦後に、慰霊碑や墓地の清掃、遺骨の収集などに尽力されてきたことに対し、大統領閣下始めパラオ国民に、心から謝意を表したいと思っております。

 この訪問に際し、ミクロネシア連邦及びマーシャル諸島共和国の大統領御夫妻が私どものパラオ国訪問に合わせて御来島になり、パラオ国大統領御夫妻と共に、ペリリュー島にも同行してくださることを深く感謝しております。

 終わりに、この訪問の実現に向け、関係者の尽力を得たことに対し、深く感謝の意を表します。


○両陛下パラオご訪問 天皇陛下の晩餐会でのご答辞・全文
http://www.sankei.com/life/news/150408/lif1504080037-n1.html
 
 天皇陛下は、パラオ共和国主催の晩餐会で答辞を述べられた。



 戦後七十年に当たる本年、皇后と共に、パラオ共和国を訪問できましたことは、誠に感慨深く、ここにレメンゲサウ大統領閣下のこの度の御招待に対し、深く感謝の意を表します。今夕は、私どものために晩餐会を催してくださり、大統領閣下から丁重な歓迎の言葉を頂き、ありがとうございました。また、この訪問に合わせ、モリ・ミクロネシア連邦大統領御夫妻、ロヤック・マーシャル諸島共和国大統領御夫妻がここパラオ国を御訪問になり、今日、明日と続き、私どもと行動を共にしてくださることも誠にうれしく、心より感謝いたします。

 なお、この度の訪問を前にして、ミクロネシア連邦を襲った台風の被害を耳にいたしました。ここに犠牲になられた方々を悼み、御遺族へのお悔やみをお伝えするとともに、被害を受けた大勢の方々に心よりお見舞い申し上げます。地域の復興の一日も早いことを念願しております。

 ミクロネシア地域は第一次世界大戦後、国際連盟の下で、日本の委任統治領になりました。パラオには、南洋庁が設置され、多くの日本人が移住してきました。移住した日本人はパラオの人々と交流を深め、協力して地域の発展に力を尽くしたと聞いております。クニオ・ナカムラ元大統領始め、今日貴国で活躍しておられる方々に日本語の名を持つ方が多いことも、長く深い交流の歴史を思い起こさせるものであり、私どもに親しみを感じさせます。

 しかしながら、先の戦争においては、貴国を含むこの地域において日米の熾烈(しれつ)な戦闘が行われ、多くの人命が失われました。日本軍は貴国民に、安全な場所への疎開を勧める等、貴国民の安全に配慮したと言われておりますが、空襲や食糧難、疫病による犠牲者が生じたのは痛ましいことでした。ここパラオの地において、私どもは先の戦争で亡くなったすべての人々を追悼し、その遺族の歩んできた苦難の道をしのびたいと思います。

 また、私どもは、この機会に、この地域の人々が、厳しい戦禍を体験したにもかかわらず、戦後に慰霊碑や墓地の管理、清掃、遺骨の収集などに尽力されたことに対して心から謝意を表します。

 ミクロネシア三国と日本との外交関係が樹立されてから二十年以上がたちました。今日、日本とこの地域との間では漁業や観光の分野を中心として関係が深まってきていることは誠に喜ばしいことです。今後それぞれの国との間で一層交流が盛んになることを願ってやみません。

 ここに杯を挙げて、パラオ共和国大統領閣下、令夫人、ミクロネシア連邦大統領閣下、令夫人、及び、マーシャル諸島共和国大統領閣下、令夫人の御健勝とそれぞれの国の国民の幸せを祈ります。


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榮チャンネル 第28回【読書日記(6) 今はむかし ─ ある文学的回想】

中村光夫著『今はむかし』は昭和初年、中村が旧制高校時代にまだ帝大の大学生だつた小林秀雄と出会ひ、小林秀雄、中原中也、青山二郎らの文学サークルの中で青春を過ごし、文藝評論家として立つに至る青春の回想録です。私が、繰返し愛読してやまない美しい青春の書です。
私は、本当はかういふ世界さへあれば、後は人生に何一つ欲しいものはない。が、このたつた一つの美しい文学的青春の世界――これが何と、今の日本で無限に遠い世界になつてしまつてゐる事でせう。

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榮チャンネル 第27回【クラシック音楽評論(6)「宇野功芳対話集・演奏の本質」を読む】


宇野功芳対話集『演奏の本質』。
宇野さんの言葉の味はひ、宇野さんの我が儘さと人間性の美しさが豊かに香る素晴らしい対話集です。
特に昨年末に亡くなられた我が師遠山一行先生の夫人、ピアニストの慶子さんとの対話は感慨無量でした。
私も我が儘な感想を喋りましたが、宇野さんへの敬愛を込めて本書を皆さまにご紹介したいと思います。

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榮チャンネル 緊急臨時号【週刊文春 最新号についての苦言】



週刊文春 最新号の記事について、苦言を呈させて頂きます。

これじゃダメだぜ週刊文春。愛の鞭編をどうぞ。

http://shukan.bunshun.jp/articles/-/4998

以下、記事の一部です。

 ベストセラー『人は死なない』『おかげさまで生きる』などの著書で知られる、東京大学医学部教授で東大病院救急部・集中治療部長の矢作直樹氏(59)が、東大病院の会議室で“霊感セミナー”を開いていたことが週刊文春の取材で分かった。
 昨年春、東大病院内に発足した任意団体「未来医療研究会」は、矢作氏の教え子である東大病院のI医師が代表に就き、矢作氏は顧問を務めている。もともとは西洋医療の枠にとらわれない統合医療を研究する団体だったという。
 しかし、古参の会員はこう証言する。
「今や研究会は、矢作さんの人気を利用したい“スピリチュアル業者”による霊感商法の営業の場になっています。中核メンバーである60代の女性などが浄化効果のある『水晶の粉』や宇宙と繋がることができる『ミュージックローション』などを勧めています」
 矢作氏は本誌の取材にこう答えた。
「私が1回目の研究会に出た時に、ちょっと筋の良くない人もいた。つまり営業行為をしていた。『何でもかんでも人を受け入れるということは危ない』とI君に言ったんですが」
 さらに矢作氏は自らの“能力”について語った。
「いま私は、この日本に天変地異が起きないようにすることをやっているんです。例えば地震を起こさないとか。東日本大震災の頃は、まだ私はかかわっていなかったんで、あれは気の毒なことをしたと思っています」
 東大病院に見解を質すと、こう回答した。
「いただいた全ての質問に対してコメントはいたしません。理由を含めてコメントいたしません」(東大病院パブリック・リレーションセンター)
 東大がいつまでこのような人物を救急医療の最高責任者に置いておくのか、対応が注目される。


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榮チャンネル 第26回【かくも怪しき北岡伸一「侵略」発言】拙稿を巡る注釈


正論5月号「北岡伸一氏「総理に侵略と言わせたい」発言についての拙稿」を巡る注釈。
正論5月号拙稿「北岡「総理に侵略と言わせたい」発言」に関して、須藤さまから、丁寧な読後感、そして、拙稿末尾にある「理性の時代への復帰」について、特にご質問がありました。
大変鋭いご質問です。
戦争については、私はまだ徹底的に考へてゐません。思想家として正面から向ひあひつつある途上です。そこで全く考への纏まらぬまま、とりあへず、ここではカイヨワの戦争論を元に――といふか入江隆則氏『敗者の戦後』からの孫引きです、まだ素人議論です、ご容赦を――簡単に説明します。カイヨワは古来の戦争を、便宜上、➀野蛮人の戦争。②古代帝国の戦争。③貴族の戦争。④ナポレオン戦争以後の近代殺戮戦争の4つに分類してゐるさうです。この内、徹底的な殺戮を特徴とするのは②と④です。③の貴族の戦争はナポレオン以前のヨーロッパの戦争、日本の戦国時代の戦争など。④に関しては、ナポレオン戦争以後と言つても特に20世紀になつて戦争は正義と殺戮の戦争となりました。
正義の主張は戦争を過酷なものにします。
これを、国益を巡る政治の延長としての戦争に戻せるかどうかといふ点から、「理性の時代への復権」と書きました。
ただしそれは戦争の残虐性を軽減する代り、戦争の頻度は上げてしまふ事になります。特に、ポスト第二次大戦の核時代、大国間戦争は今の所起きてゐないので、戦争を国権として認める③の状態に戻すのは、逆に危険だとも言へます。国権の為の政治の延長が格戦争を誘発する位ならば、侵略―正義で世界を縛り付けておいた方がましとも言へるからです。ここはまだ考へてゐません。
しかし、パクス・アメリカーナの終焉が近づく今、戦争と平和のあり方を根本から考へる事は早急に必要です。戦争を侵略戦争と正しい戦争に分ける見方――これは我が国にとつては歴史認識を巡る問題で、どうしても譲れない一線を創り出す必要がある。今後の外交の為にも。
が、世界全体で見た時には、侵略戦争観は、今有効なのです。現在、アメリカの正義=日本の正義ですから。今、安倍首相は「法の支配」か「力の支配」かといふ、正に戦前、我々が国際社会から封じ込められた論理で、逆に中国を封じ込めてゐる。これは侵略戦争観なんです。今はまだ世界がアメリカの圧倒的優位なので、日米同盟下で、この安倍首相の論理は有効です。が、この論理をどう推し進め、外交力として機能させ続けられるのか、別の論理へと移行しなくていいのか。また、我が国が、今の中国を「力による現状変更」と非難する時に、我が国戦前が「侵略」国家ではなくとも、国策の基調が「力による現状変更」だつたのは事実ですから、我が国の正統の歴史認識と安倍外交戦略=思想の整合性を取る必要はあるのです。
かう考へてみると、侵略戦争観を③のクラウゼヴィッツ的な戦争に戻すよりも、侵略戦争観を「進化」させた方がいいかもしれません。
以上まだ全く纏まりませんが、大変的確な議論の穴を指摘していただいたと思ひます。勉強の上でのヒントになります。須藤さん有難うございました。





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小川榮太郎

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