小川榮太郎の書斎から クラッシック音楽評論
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レコードコンサートの一夕

昨夕は、去年ザルツブルク音楽祭で知遇を得たTさんのお招きに預かり、ご自宅でレコードコンサート。
非常に美しいレコードルーム。信じ難い音響設備。中庭から夕暮れ時の木漏れ日が静かに部屋に入る中で、ブラームスのピアノ協奏曲2番、バレンボイム&ドゥダメル、ポリーニ&ティーレマンの2枚を立て続けに聴く。これは色々な意味で前者に分がある。この曲が、宇宙的な――ブルックナー的な広大さを持つ事を始めて感じた。
 しかし唖然茫然としたのは、その後にさはりだけ聞かせてもらつたショルティ&カルーショーの指環。ジークフリートの葬送とヴォータンの告別だけ聴いたが、Tさんの再生システムから部屋一杯に鳴り渡るヴァグナーサウンドはホールでも滅多に聴けない。眼を閉じると歌手(ヴィントガッセンとホッターだからね(笑))が上方に立ち、下から弦が唸り、左から金管が咆哮する。眼前でフルトヴェングラー、クナッパーツブッシュ時代のウィーンフィルが強烈なサウンドを展開する様は茫然とするばかり。
これが半世紀以上前の録音だ。勿論伝説の名盤でカルーショーの凄腕は知つてゐたが、ホールがそのまま再現されるやうなこんな立体感が刻み込まれてゐたとは今日の今日まで知らなかつた。
最新盤であるバレンボイムやティーレマンの録音の浅さ、甘さ、緩さとの差は信じ難い。
しかし……これほどの音で往年の偉大な演奏が聞けるとなると、大抵の生演奏は聴く気がしなくなるな(笑)
……食事の時、拙著『小林秀雄の後の二十一章』の話題から、お前はもう文化の仕事に戻れと言はれたのは嬉しかつた。
政治的な日本の再生は、安倍首相が最大限の仕事をしてゐる。
が、ずつと指摘してきてゐるやうに、政治による再生には限界がある。人間の再生ができなければ――人間の桁を一回り、二回り大きくしなければ、日本の再生はない。よく言はれる安倍氏の後継者の事一つとつてもさう。政治家を作り育てるのでなく、知識人の質を高く分厚くする所から始めなければ、この国はもうまともなエリートを生み出せなくなつてゐる。その根本は「文學」である。「文學」をここまで軽視したまま、日本が再生する事は絶対にあり得ない。安つぽい、過去と切断された日本が政治の力で守られても、何の値打ちもない。
私の仕事は元々そちらであり、この秋から、やうやく、その本来の仕事へと私は戻つてゆく事になる。
そして、その際、私の仕事の中心にはやはり音楽がなければならない。音楽を言葉に置き換へる困難への挑戦によつて、私の筆力は鍛へられてきた。今の私には音楽批評を書く力が失せてゐる。こんな事では早晩、文学や思想の筆も枯れてしまふ。音楽に戻る事は私の物書きとしての生命線の確保の上で是が非でも必要だといふ気がしてゐる。
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榮チャンネル 第41回【クラシック音楽評論(10) ベルリン・フィルの底力(続)─カラヤンとフルトヴェングラーの「悲愴」─

ベルリンフィルにあくまでこだわり続けます(笑)
今回は、本来ベルリンフィルがどの位の潜在力のあるオケだつたかをカラヤンの最後の来日のライヴ録音による『悲愴』と、1951年、フルトヴェングラー指揮のカイロでのライヴ録音を取り上げました。詳細を比較試聴してゐる訳ではありませんが、ベルリンフィルのオケとしてのアイデンティティがどこにあるかを論じてゐます。また、フルトヴェングラーの音の悪いライヴ録音を楽しむ秘訣も同時にお話してゐます。


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榮チャンネル 第39回【クラシック音楽評論(9) ベルリン・フィルの底力 ━カラヤン・ラストコンサート1988━】

ベルリンフィルの次期音楽監督選挙前からベルリンフィルについてお話し続けてきました。自分でも滑稽な拘りぶりですが、今回は、ベルリンフィルが「スーパーオーケストラ」なるイメージを纏つてゐる事こそ病理だといふ事から、かつてのベルリンフィルの「底力」についてお話します。

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榮チャンネル 第27回【クラシック音楽評論(6)「宇野功芳対話集・演奏の本質」を読む】


宇野功芳対話集『演奏の本質』。
宇野さんの言葉の味はひ、宇野さんの我が儘さと人間性の美しさが豊かに香る素晴らしい対話集です。
特に昨年末に亡くなられた我が師遠山一行先生の夫人、ピアニストの慶子さんとの対話は感慨無量でした。
私も我が儘な感想を喋りましたが、宇野さんへの敬愛を込めて本書を皆さまにご紹介したいと思います。

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榮チャンネル 第24回【クラシック音楽評論(5) ベルリン・フィルハーモニーの次期音楽監督について】

ベルリン・フィルハーモニーの次期後任音楽監督が間もなく決定します。
ハンス・フォン・ビューローからサイモン・ラトルまでの音楽監督人事についてを踏まえ、今回の人選について論じてみました。

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小川榮太郎

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